2024年9月7日土曜日

統合論と「解離能」8

ここからUSPTについて少し勉強する。小栗康平先生や新谷宏伸先生の提唱するこの技法は、「タッピングによる潜在意識化人格の統合」(新谷 宏伸 (著, 編集), 十寺 智子 (著), 小栗 康平 (著)(2020)USPT入門 解離性障害の新しい治療法 -タッピングによる潜在意識下人格の統合. 星和書店.) という研究所で私も以前から注目していた。本書では私が今検討している人格の統合ということを治療の最優先事項として掲げているという点で画期的な書である。ちなみにUSPTとはUnification of Subconscious Personalities by Tapping THerapy (タッピングによる潜在意識化人格の統合) の頭文字である。この治療の眼目として創始者小栗先生が唱えるのが、「表出してくる憑依人格の存在を通して生きることの意味まで深く考えさせられる事」であるとする。(同書p.2)ちなみに小栗先生は「マイナスエネルギーを浄化する方法ー精神科医が明かす心の不調とスピリチュアリズムの関係」(2010)という書も出されており、それが本書の共同著者である新谷宏伸先生(現USPT研究会理事長)の心をつかんだとある。本書では新谷先生が小栗先生のもとに言わば弟子入りして第三者の視点から本技法が生まれた経緯が書いていることが興味深い。それによると小栗先生は人格変換をEMDRを用いつつ行った結果「両ひざのタッピング」が最適だとの結論に達したという。そしてさらにある治療者A先生により人格の統合には「背部(肩甲骨のあたり」をタッピングすることがいいと伝授されたとのことである。そして両膝への左右交互のタッピング」で人格変換を手早く行い、背部のタッピングで人格を統合するというUSPTの原型が出来上がったとする(p.13)。何かフロイトがカタルシス法から前額法を経て自由連想法に至った経緯を思わせる様で先を読むのが楽しみである。