2024年8月31日土曜日

統合論と「解離能」2

  結局このISSTDのガイドラインを読む限りは、integration と fusion の決定的な違いは出てこない。そもそも Kluft 先生が次のように書いている(として引用されている)からこれは変えようがないのだ。 

「治療の帰結として最も安定しているのは final fusion (最終的な融合)ーcomplete integrtion (完全なる統合)であるが、そこまでに至ることが出来ない・あるいはそれが望ましくない患者がかなり多い。」「この最終的な融合の障害となるものは、たとえば併存症や高齢である」(G133.)

つまりこの言い方からして、integration = fusion なのである。そしてガイドラインでは次のように述べる。「つまり一部の患者にとっては、より現実的な長期的な帰結は、resolution (解決、とでも訳すのだろうか?)という、協力的な仕組み cooperative arrangement であるという。それは最善の機能を達成するために、交代人格たちの間で十分に統合され、協調された機能である sufficiently integrated and coordinated functioning among alternate identities to promote optimal functioning.」(G134).(機能、という言葉がダブっているが、原文ですでにダブっているのだ)。そして治療によりこの最終的な融合に至るのは、16.7~33%であるとも書いてある。


ちなみにこのfusion という言葉をHowell 先生のテキストの中に探してみた。ところがこれが出てこないのである。その代わりに出てくるのが、conextualization 文脈化という概念だ。そしてこれは例のPutnam のdiscrete behavioral states (DBS)の概念と密接にかかわっている。今度はこのHowell 先生の説に耳を傾けてみよう。