2024年7月27日土曜日

解離性障害 Q&A その1

一般向けのコラムを頼まれたのだが、かなり突っ走った内容になりそうだ。 


①「解離」とは、どのような現象でしょうか?

 解離は私たちが危機的な状況で、心や体の状態をスイッチさせて乗り切るという仕組みです。しかしそれは普通は意図的に起こすことはできません。当人にとっては自然に心や体が切り替わり、痛みを感じなくなったり、意識が遠のいたり、という体験となります。そしてこの解離体験は様々な形をとります。記憶を失う、自分という感覚がなくなる、手足の感覚がなくなる、など、通常の働きが急に抜け落ちるという形をとる場合が多いのですが、時にはどこかから声が聞こえる、自分の口が勝手にしゃべりだす、手足が勝手に動き出す、など心身がコントロールを失ってしまうという形を取ることもあります。いわゆる幽体離脱や憑依現象、多重人格状態などはいずれもこの解離現象と考えることが出来ます。

 解離がどの様な現象かを説明することは非常に難しいのですが、自分の心や体に、「自分以外の自分」が出来て、それが心身を支配するようになる、という現象と考えられています。もう一つの自分が体をコントロールしたり、手足を麻痺させたりして普段の自分はそれに翻弄されてしまいます。時には沢山の自分がそれぞれ人格となって一つの体に共存するということも起きてしまいます。この自分と「自分以外の自分」との切り変わりは実に早いためにそれを最初に「心や体の状態のスイッチ」と表現したのです。

 以上かなり直感的な表現で「解離」について説明しましたが、しばしば原因として考えられるのが、トラウマや大きなストレスです。それが通常の自分の心のキャパを超えた時に、このような不思議な現象が起きると考えられています。しかしそれは催眠にかかったり、酒や特殊な薬物を服用した際にも起きます。