2024年6月22日土曜日

PDの臨床教育 4

  昨日のエントリーに書き忘れたが、PDの10のカテゴリーにエビデンスがない、とはどういうことか。私も若い頃はDSMの10のカテゴリーについて、特に疑問を感じないでいた。しかし段々自分なりの考えが固まってきた。

 もっとも筆頭にあげられるべきBPDはいったん置いておこう。従来それと同列に扱われることも多かったスキゾイドPDについては、それと発達障害との区別はますます難しくなってきた。スキゾタイパル、スキゾフレニフォルムなどはDSMでは統合失調症性のものとして改変されている。また自己愛性PDについては、それが置かれた社会環境により大きく変化して、あたかも二次的な障害として生まれてくる点で、従来定義されているPDとは異なるニュアンスがある。

 ということで結論から言えば、DSMの10のカテゴリーの少なくとも一部についてはあまり信憑性もなさそうというのが実感なのである。私は個人的にはカテゴリーモデルを捨てきれないが、その候補として残るのは恐らくBPD,NPD,反社会性、回避性くらいということになり、これはまさしくDSM-5 の代替モデルで最終的に提唱されたカテゴリーに近いということになる。

ただしその中でしぶとく生き残るのがBPDなのだ。