2024年6月29日土曜日

〇〇 市精神科医会講演の準備

 札幌の学会から戻ったら、今度はこちらの準備だ。こんな感じで始めようか。

○○市精神科医会の皆さん。本日お話するテーマは、「精神科医にとってのトラウマと解離」ということですが、この話題がどの程度皆さんにとってなじみがあるかは私には分かりません。しかし重要なテーマであることは確かです。現在の精神医学では、とにかく発達障害が大きな話題になっていますが、その次に来るのがこのトラウマや解離の問題だと思います。そこで問うべきは以下の問題です。  現代の精神科医はトラウマ関連障害をいかに扱っているか?あるいはもう少し具体的に言えば、患者のトラウマは扱うべきか、否か。そしてもう一つ、いわゆる「反トラウマ論」とどのように対峙していくのか?現代は彼らが言うようにはたして「被害者帝国主義」なのか?という問題があります。  恐らく外傷やトラウマに関して一番密接にその話題の大きさを感じさせたのが、いわゆる複雑性PTSDという概念です。この概念の始まりは1992年のジューディスハーマンの「心的外傷と回復」ですが、それが30年後にようやくICD-11に疾患名として登場することになりました。しかしこの本はかなりの毀誉褒貶を得ることになります。比較的有名なのは、エリザベズ・ロフタスとの論争です。