対象関係論勉強会の講義の季節だ。今回の私のテーマは米国の精神分析、特に関係精神分析である。以下のような始まりにしたい。
米国における精神分析として過去数年にわたって私が講義を担当しているのが、この関係性理論とか、関係精神分析という事です。そしてまず言葉の定義からですが、いわゆる関係精神分析、関係精神療法は、「関係性」というやや曖昧な使われ方を多少なりとも明確化するためにこのような言い方をしているという事です。そしてこの両者が並列的に用いられているという事からもわかるとおり、精神分析と精神療法を特別区別するようなやり方はしていません。両者ともある種の共通した理念を持っているならば同格に扱うという事です。そしてもちろんここで注意すべきことは、いわゆる対象関係論と対人関係論と間違えてはいけないという事、そしてもうひとつ,間主観性理論とも混同してはいけないという事です。
ただし同時に重要なのは、関係性理論は対象関係論と対人関係論の共通項を抽出するという事から出発しているという事です。そう、最初は関係性理論とは何も特別なものではなかったのです。ところがその様な言葉を使ったグリーンバーグとミッチェルのおかげで、この概念が独り歩きをするようになったというわけです。