以下の内容の執筆依頼。まずは下書き。
自殺企図・故意の自傷行為
(欧文表記)suicide attempt, deliberate self-harm
緊急処置
自殺企図や自傷行為はそれが発見された時点で身体的な損傷がすでに伴っている場合は、止血、挿管、解毒剤の投与、緊急手術、透析等の救急医療の手にゆだねられる。過量服薬の場合には一時間内であれば胃洗浄の適応となる。またその時点で更なる自殺や自傷の意図および衝動が見られる可能性があれば、精神医学的なアセスメントおよび、必要に応じて精神科の入院治療が必要となるであろう。
【必】診断のチェックポイント
自殺企図と自傷行為は類似の機制の下に生じると考えられがちであるが、その本質は大きく異なる場合が多い。自殺企図は自らの命を終わらせたいという試みであるのに対し、自傷行為は自らの生命を獲得し、また苦痛を軽減するためというニュアンスが強い。ただし過量服薬のように、その両方の意味を持つ場合もあれば、両者の境界が曖昧な場合がある。
定義(診断のチェックポイント下位項目)
自殺企図は、自殺を試みる行動であり、その転帰に従って既遂と未遂に分類される。また自傷行為は自らの身体や精神、社会的地位などを傷つける行為であり、それは刃物などを用いた自らを傷つける行為の他にも、自らのケアを放棄するという形での受け身的なそれがある。自傷行為は自らの窮地の無意識の表明であったり、種々の疾病利得が伴う場合がある。
【必】病歴(診断のチェックポイント下位項目)
自殺企図や自傷行為は年余にわたり散発している可能性がある。その為注意深い治療歴の検討が必要になろう。その背景には長期にわたる身体および精神疾患がある場合が多い。またそれらの行為を誘発するような心理社会的なトリガーが見られることがある。しかし対人関係上の突発時(相手からの暴言や別れの宣言、SNS上の誹謗など)に反応して衝動的に行われる場合もある。なお虚偽性障害が鑑別上問題とされることもある。