2023年6月2日金曜日

連載エッセイ 4の8

 3.「わかる」とはネットワークの間の新たな結びつきの形成である

 12までの前提で、分かる、という体験について考えよう。それはそれまで唯一無二のものとして結晶を形成したネットワーク同士がつながる、ということである。しかしそれは単にA,Bの二つのネットワークの間に繋がりが形成されるというわけではない。それにより両者は同時に、つまり同期化して点滅し、そのために新たな一つの体験として成立することである。以下のGIFアニメはそれを表現する目的で作成された。上の図ではAとBは別物であり、別々に点滅している。ところが下の絵ではAとBが一つに繋がって同期化している。



この事情をもう少し分かりやすく説明しよう。例えば新しく配属された職場で同僚となったCさんと暫くかかわりを持ち、その人となりについてある程度理解したとしよう。そしてある時、実はあなたの小学校時代のクラスメートCちゃんと同僚のCさんが同一人物であったことが分かったとしよう。Cちゃんはあれからすっかり成長して結婚して名前も変わっていたため、たまたま出身地が一致していたことから判明したのだ。あなたはその瞬間に「そうだったんだ!」という声をあげるかもしれない。それはあなたにとってはおそらくかなりの驚きを伴った体験である。それは同僚Cさんに関して持っていた結晶と、Cちゃんについて持っていた結晶が、突然つながるという体験だからだ。そして「そういえば・・・・」という体験が数多く出てくるはずである。「Cさんのような口調や表情をどこかで見たことがあると思っていたが・・・」とか「Cさんの強情さは、小学校の時のCちゃんとそっくりだ。」などである。その時二つの結晶はN次元上で同期化して光る新たな点となるはずだ。