2023年2月12日日曜日

デフォルトモード 6

絶好の資料を発見. これも無料でダウンロードできる。

Beggs, JM & Plenz, D (2003) Neuronal Avalanches in Neocortical Circuits. Journal of Neuroscience. 23 (35) 11167-11177

  脳科学の世界では、いわゆるデフォルトモード(ネットワーク)という概念が大いに関心を集めている。知らない人には何のことかわからないであろうが、結構重要な概念だ。後に述べるように、デフォルトモードとはいわば「待ち受け」状態である。そして私たちの脳はいつ何時でも、特に何もしていない時も待ち受けモードにある、そしてそれが人間の創造性にも深く関係している、という、そんな話だ。

 「デフォルト」というと普通は「○○国の経済がデフォルトに陥る」、つまり債務不履行になるという意味だが、パソコン関連では工場出荷状態、あるいは「初期値」という意味だ。私の中ではそろばんの計算初めの「ご破算で願いましては‥」の「御破算(ゴハサン)状態」なのだが、この比喩はスマホの電卓機能を使うような時代では死語になりつつある。

とにかく脳のデフォルトモードという考えはとても魅力的だ。というのもデフォルトモードは脳の「素の」状態を表現しているからである。そしてそれはそろばんのご破算状態のように、すべての珠がゼロの状態で動かないというわけではない。それはむしろ算盤の珠がひとりでにフワフワ動いているような不思議な状態である。つまり脳は何もしない状態でも何らかの活動を、しかも活発に行っているのだ。