2022年12月23日金曜日

発達障害とPD 7

 あと二つの文献も見てみる。

    はどうだろう?スキゾタイプ性 schizotypy ASDの関連についての研究という、まさに直球の論文だ。こう書かれている。「両者の区別は難しい。なぜなら両者とも社交  social relationship と社会性の交流 social interaction に問題があるからだ。」そうそう、そこを知りたいの。そこでこの研究はASDの基準を満たす110人に、スキゾタイパルPDのスケール(SPQ-BR)その他たくさんのテストをしてもらったという。そしてASDの人で抑うつや不安が高い人はスキゾタイプ性が高く、SPQ-BRの高次の概念構成(陽性、陰性スキゾタイパル性、disorganization, 社交不安、低い quality of life)においてASDとの関連が高かったという。つまりASDの人たちはスキゾタイプ性も高いという、ある意味では予想していた結果が得られたという。(ただしよく考えるとスキゾタイプ性とは、魔術的な思考、錯覚など、かなり精神病性の要素を持つ群ということになり、スキゾイド性とはかなり異なるものでもある。ここは注意して論じたい。)

 ③はボーダーラインとASDの関連についての論文だが、これも見てみよう。これも以前から私が疑っていたことである。BPDの人で特に他罰傾向の強い人たちには発達障害の傾向があるのではないかと思うことが前からよくあった。そこでざっと読んでみると、「両者とも他者の気持ちを理解したり、対人機能を発揮したりすることが苦手だ」たしかに。「そこで624人のASDの人と、23人のBPDの人と16人の併存症の人、そしてたくさんのコントロール群を対象に、AQテストと共感性質問票EQempathy quotient)、システム化質問票―改良版SQ-Rを行ってみた。」

するとAQテストでは、BPDの人はASDの人たちほどではないが、コントロール群よりも、そして併存症群よりも、高いスコアを示した。そしてEQではBPDの人は併存症の人とASD の人よりは高い点数を示した。またSQRについては両群がコントロール群より高かったという。つまりはBPDASDのようにAQが高く、システム化する傾向にあり、両者のオーバーラップは明らかだということになる。これも予測通り。でもBPDの人はシステム化が高く、すなわちASD的な意味で「こだわりが強い」というのはこれまであまり考えてこなかった。ためになった。