2022年9月5日月曜日

高機能のサイコパスと治療

 昨日とある学会で発表した内容の結論部分である

仮説を含めた結論 高機能のサイコパスの治療的なアプローチは可能か。

 まずここでサイコパスの治療の目標としては、彼らの向社会性を少しでも高める関りと考えることが出来るであろう。それは彼らの共感力を高めるという類の治療目標とは異なる。

サイコパス自体がある種のheterogenous 異種性の、異成分からなる一種の症候群である以上、そこには反社会性の部分を含まないサイコパスも存在し得るであろう。これはある意味では異なるネットワークからなり、それぞれのネットワークの性質から第4成分を含まないものも出て来て、その上に高知能性を有する場合にHFPとなるであろう。だからHFPはサイコパスの中の一定の割合を占めるであろう。そしてそこで高知能と幸運に恵まれた彼らが社会で成功する可能性はより高くなる。

ただしニューマンの研究が示すとおり、ここにはスイッチング効果もありうる。那須川天心が、昨日の「チコちゃん」で「自分はビビりだ」と言っていた。

サイコパスにとっての快感の一部としては自己愛的な満足が必ず含まれるだろう。そして彼らの向社会性は彼らの自己愛的な満足と結びつけることで可能ではないか。

彼らのサイコパス性についての理解を得たうえで、彼らにとって一番の喜びは、サイコパス性を持つ人にとって最も難しいことを達成することである。それは人を助けるための行動を行うことで、彼らは自分たちのサイコパス性を少なくとも行動面で克服できるという力を示すことである。