2021年1月22日金曜日

続・死生論 13

 Slavin, MO. (2013) Meaning, Mortality, and the Search for Realness and Reciprocity: An Evolutionary/Existential Perspective on Hoffman’s Dialectical Constructivism. Psychoanalytic Dialogues, 23:296–314.の中身を見ていく。

 Slavinは言う。私たちが生きると言うことは意味をつむぎだすことだが、それは残念ながら永遠には続かない。愛も、目的も、美も。私たちの生きる主観的な宇宙は常に浸蝕されている。ホフマンはしかしそれを悲劇的ではあっても、grim (冷酷でぞっとするような)ではないという。むしろ高貴で美しいと言うのだ。ただ彼が美、というテーマに言及するものの、その根拠はあまり示されない。むしろ彼が強調するのは、死すべき運命を緩和する母親の役割についてである。そこでは自分の限界があるということは、子供にとっては他者の持つ限界、もう少し言えば他者は自分自身を最も愛するということ(もちろん自分もまた自分自身を最も愛するということは当然である)というどうしようもない限界性と闘うこととして表現されている。「生―死」と「自―他」は似たようなものなのだ。そして両者は人間が知性を獲得したことの代償として必然的に生じてくる問題であるという。

(やたらと短いが、7本の修士論文を読まなくてはならず、まったく時間が取れないのだ。)