攻撃性の由来と所在
解離的な転回が論じるべきものとして重要なのは、攻撃性のありかをどのように考えるかである。転回において要請されるのは、クライエントの示す攻撃性をよりトラウマ理論に沿った、外来のものとしてとらえるという視点を促す。Howell, Izko先生その他の論者が言うとおり、解離性障害についての分析的理解は、トラウマ理論と手を取り合いながら発展してきた。そしてそれはフロイトがトラウマを軽視したことから生まれた伝統的な精神分析理論とは対をなしている。そしてそれは具体的にはDIDにおける人格が示す攻撃性をどのようにとらえるかという点に比較的典型的に表れるといってよい。
Frankel, J. (2002). Exploring
Ferenczi's concept of identification with the aggressor: Its role in
trauma, everyday life, and the therapeutic relationship. Psychoanalytic Dialogues, 12(1),
101–139.
Howell,
E (2014) Ferenczi’s Concept of Identification with The Aggressor: Understanding
Dissociative Structure with Interacting Victim and Abuser Self-States. The American Journal of Psychoanalysis 74(1):48-59.