2020年7月10日金曜日

ICD-11における解離性障害の分類 書き直し 4

6B60 解離性神経症状障害 Dissociative neurological symptom disorder または、運動、感覚、認知の解離性障害Dissociative Disorder of Movement, Sensation, or Cognition (2020年6月30日の時点)

 運動、感覚、認知機能の正常な統合の不随意的な不連続性により特徴づけられる。臨床所見はすでに見出されている神経系やほかの健康状態における疾患とは一致しない。」
(つまり神経症状に限らない、という意味では運動、感覚、認知機能としたほうがより幅広い定義となるのは確かである。だから神経症状障害、という言い方をやめたのだろうか。)それらの症状としては以下の12が網羅されている。それらは神経症状のうち何が主たるかにより分かれているが、それがかなり網羅的である。それらは視覚障害、聴覚障害、めまいやふらつき、その他の感覚異常、非癲癇性けいれん発作、発話障害、麻痺または脱力、歩行症状、他の運動症状、認知症状、特定の症状、特定されない症状である。
しかしこの網羅の仕方はほとんど私たちが示す症状のあらゆるもの全てを含む。もう少し言えば、神経症状として呈されるものはことごとくかつての「転換症状」でもありうるということだ。昔から言われていた、ヒステリーにおける症状の分布の仕方の特徴(例えば神経の走行とは異なる症状の分布の仕方)の意味は今になって問われなくてはならないだろう。
6B64 解離性同一性障害 Dissociative identity disorder
解離性同一性障害においては、二つ以上の異なる人格状態(解離性アイデンティティ)の存在により特徴づけられる同一性の破綻があり、そこでは自己および主体の感覚の顕著な不連続性がみられる。それぞれの人格状態は、自己、身体、環境に関する経験、認識、想起、関連の独自のパターンが含まれる。少なくとも2つの異なる人格状態が、意識や、他者や環境との交流という機能の実行統御を繰り返し行う。それらとしては例えば日常の特定の側面の行為(例えば養育や仕事)や、特定の状況(例えば脅威と認識されてしまうような)におけるパフォーマンスなどが挙げられる。人格状態の変化には、感覚、知覚、情動、認知、記憶、運動制御、および行動における関連する変化が伴う。重篤となりうる記憶喪失のエピソードが典型的に存在する。