2020年7月5日日曜日

ICD-11における解離性障害の分類 7

さて次が 7.4 Possession trance disorder 憑依トランス障害ICD-11では以下のように説明されている。

 憑依トランス障害では、個人の意識状態の顕著な変化が生じ、個人のアイデンティティの通常の感覚が外的な「憑依possessing」アイデンティティに置き換わる。トランス状態は行動または運動が憑依主体によりコントロールされているように体験されることにより特徴づけられる。
トランスのエピソードは霊魂spirit、威力power、神的存在deity、そのほかの霊的存在に帰される。
トランスのエピソードは繰り返されるか、もし一回のエピソードで診断されるなら、少なくとも数日は継続する。

そしていよいよ

6B 15 Dissociative identity disorder 解離性同一性障害
 解離性同一性障害においては、二つ以上の異なる人格状態(解離性アイデンティティ)の存在により特徴づけられる同一性の破綻があり、そこでは自己および主体の感覚の顕著な不連続性がみられる。それぞれの人格状態は、自己、身体、環境に関する経験、認識、想起、関連の独自のパターンが含まれる。
 少なくとも2つの異なる人格状態が、意識や、他者や環境との交流という機能の執行権を繰り返し獲得する。それらとしては例えば日常の特定の側面の行為(例えば養育や仕事)や、特定の状況(例えば脅威と認識されてしまうような)におけるパフォーマンスなどが挙げられる。
 人格状態の変化には、感覚、知覚、情動、認知、記憶、運動制御、および行動における関連する変化が伴う。重篤となりうる記憶喪失のエピソードが典型的に存在する。