2020年2月7日金曜日

「読む」を読む 3

 ここで少し寄り道をして、梅田聡先生の論文(2016) (ネットで無料でダウンロード!!) を読んでみる。絶対ポリベーガルとかダマシオとかが出てくるはずだ。少し知識を蓄えよう。
梅田聡 (2016) 常同を生みだす「脳・心・身体」のダイナミクス:脳画像研究と神経心理学研究からの統合的理解 高次脳機能研究 36 : 265-270.

 ということで、数ページなので簡単に読めた。読みやすい文章だ。しかしこのかなり事情通の先生の内容も、煎じ詰めれば次のことをおっしゃっている。「感情状態と身体症状態の両方の課題で、共通して活動がみられる部位が島皮質である。つまり感情を体験するときは、身体状態も込みである。」




 ちなみにこれまで島、島、(ちなみにトウ、と読む)と言っていたが脳の図でどこが島なのかが分かりにくい。側頭葉の奥深くにしまい込まれているからだ。だから大抵解剖の図には次のような絵が出てくる。二本の鈎で側頭葉と頭頂葉の間をこじ開け、島を露出した形になる。部位から言ったらおそらく系統発達的には相当古い。
 島皮質の機能としてはさまざまな記載があるが、面白いのは、あいまいな結果が予測される際の決断を下す部位である。あるいは道徳的な判断をするとき。神経症的になり、あるいは不安を伴う状況。痛みや内受容感覚。これらもすべて島に関係している。いわゆる身体化的認知 embodied cognition に中心的に関係しているといってもいい。この部位はうんざり感や、他者の痛みを感じ取った時の体の感覚にも関与している。さらには飢餓や渇望、中毒症状にも関与する。この部分の脳卒中を起こすと、中毒症状が100 倍も高くなるというのだ。これほどのことをするのだから、系統発達的にも古いはずだ。以下の記載あり。「島皮質は比較的古い構造であると考えられている。島皮質は、味覚、内臓感覚、自律性調節 (恒常性機能とも呼ばれる) などの、基本的な生存に必要な、強く保存された様々な機能を担っている。これらの良く保存された機能に加えて、島皮質はヒトや高等類人猿のみにおいて、より高次の機能を担っている。」
  なんかすごいな。島。改めて見直したぞ。島オタクになろうかな。