2019年9月11日水曜日

日本における母子関係 1


日本における母子関係

このテーマで書かなくてはならない事情がある。もちろん論じるべきテーマは数多くあるが、問題は日本における母子関係は徐々に変わりつつあるという事である。だから「日本の母子関係はこうである!」というものはなかなか提示できない。「それは昔の話でしょ?」と言われかねないからだ。そのことを前提としたうえで、結局は私自身の異文化体験がメインにならざるを得ない。一番実感を持って体験したことだからである。私と妻が子育てを行ったのはアメリカのカンサス州トピーカという、米国の中でもド田舎だった。大きな都市なら日本人のコミュニティもできやすいが、この町はメニンガー・クリニックという精神分析のメッカがあるためにそこに集まる数家族をのぞいては日本人は数えるほどしかいなかった。そこでもちろん息子は学年で唯一の日本人という事で子供の成育環境を通して異文化体験を豊富に持つことになった。

(以下略)

更にもう一つの顕著な違いは、私たちは baby sitter を全く信用できないと思えたという事である。しかし典型的なアメリカの家族では、それは子供がたとえ一歳未満でも、信頼できるベビーシッタ-に預けるという事は、むしろ普通の体験と言えた。
ただしこればかりは米国において密着が強いと感じられたのは、登下校である。基本的には外ではどのような危険にあうかが分からないという米国の環境では、どこに行くにも親が車で送り迎えし、しばしば親がその間付き添っているという状況である。また遊ぶのはどちらかの子供の家という事で、常に親の目がある。子供たちが単独で遊ぶという事がなく、それは逆の意味で日本とは大きな違いであるといえた。