Dutton さんの本、もう終わりに近い。そこで問題になっているのは、すでに述べた聖人とサイコパスの関係性である。この両者は意外な共通点を有する。それは感情に揺らぐことがなく、いつも冷静なところである。Noble Eightfold Path 「高貴な八つの道」にも書いてあるそうだ。心を何も他に逸らさないこと。周囲におきていることにとらわれないこと。現在起きることに注意を向けること ・・・・。エー、これって結局マインドフルネスみたいではないか。
ここで言う聖人には熟練した外科医や禅の高僧なども含まれる。彼らが言うことは、心を今、現在につなぎとめよ、そうすれが不安は襲ってこない、というのだ。確かにそうかもしれない。不安とは、将来のことを考えるからだ。このままでいいのか、締め切りまでに原稿はかけているのか、将来カミサンに逃げられたらどうしよう、などである。また過去を思い出すことで慙愧の念が押し寄せてくる。ということは現在に焦点を当てよ、という教えは心の健康にかなり貢献する可能性がある。しかし重要なのは、それは否認を伴っているかもしれないということでもある。そしてサイコパスの人はこれがごく自然に出来、凡人は修行によりその境地に至る、ということかもしれない。