2017年7月31日月曜日

自己愛の本を手直ししている

自己愛の原稿がとうとう本になりそうだ。喜ばしい。今最後の手直しをしているところだ。その一章の冒頭部分。
11章 大国と自己愛
本書ではこれまで基本的には自己愛的な「人」について論じてきた。ナルな人たちにはさまざまな種類がいる、ということをこれまで主張してきたわけである。でも、「これは少し自己愛的ではないか?」と思いたくなる「国」はいくつもある。「人ではなく、国が自己愛的になる」ということがあるのだろうか? この疑問を自らに問いつつ、少し考えたい。だからこの章は、いわば番外編なのである。
まず最近読んだインターネットのニュースで、特に私が特に印象深く感じたものが二つあったので、紹介する。

① 発展した隣国を日本は受け入れるか……中国外相
【北京=竹内誠一郎】中国の王毅(ワンイー)外相は27日、北京市内で行った講演の中で、日中の関係改善を巡る課題について、「発展を遂げた最大の隣国・中国を、日本が真の意味で受け入れるかどうかだ」と発言した。
 中国の要人が公式の場で日中両国の「地位」に言及するのは異例とされ、講演で本音が出たとみられている。
 王外相はこの日、清華大で開幕した「世界平和フォーラム」で講演。質疑では「日本の古い友人の話」を紹介する形で、「中国は過去の歴史上のあるべき状態に戻っただけで、日本人はそれを受け入れるべきだ」とも訴えた。歴史問題では、「(日本は)歴史の『被告席』に立ち続けるか、過去に侵略した国との和解を実現するか」と発言。安倍首相が発表する戦後70年談話を念頭に、日本をけん制した。(読売オンライン、二〇一五年六月二七日)
この見解はどうだろう?私たちは、他国がいかに大国になろうと、基本的には大丈夫だろう日本はもともと小さな島国である。日本人は大きな国、強い国に慣れているし、迎合する術もわきまえている。だから善良な大国、日本に干渉をしてこない国なら大歓迎である。
それではもう一つ。
②中国、米を批判…「いわれのない脅威論を誇張」
 【北京=竹腰雅彦】中国外務省の華春瑩(ファチュンイン)副報道局長は3日の定例記者会見で、米軍が1日発表した「国家軍事戦略」について、「いわれのない中国脅威論を誇張しており、不満と反対を表明する」と批判した。「軍事戦略」は、中国が「アジア太平洋地域で緊張を高めている」などと指摘していた。華氏はまた、南シナ海の人工島建設に対する米国の批判について、「米国は冷戦的思考を捨て、中国の戦略意図を正確に認識すべきだ」と強調。人工島で軍事・民事の施設建設を進める考えを改めて示した。(読売オンライン、二〇一五年七月三日)

これなども米国からの相当の反発が予想されるであろう。ただしもちろん大国同士の自己愛の表現であるから、どちらかの是非を問うわけにはいかないだろう。ともかくも大国の報道担当の声明を聞くと、あたかも国同士の立場の主張が、対立する二人の人間の間の会話のような印象を与えるのも確かである。そこで本章では、国をあたかも人と見なして、そこに現れる自己愛問題について考えてみよう。