この後なぜかPTSD概念が精神医学の歴史の表舞台から姿を消す。何しろ1952年のDSM-Iにさえ出てこないんだから。
どうしてかはわからないが、とにかく流行らなかくなったのだ。米国を含む大きな戦争がしばらくなかったからという事情もあるだろう。その間に公民権運動は進展していた。弱い立場の人、虐待の犠牲者、女性、子供の権利の拡大が起きた。そしてベトナム戦争。フロイトが「戦争が終わったらあっという間に消えてしまった」「謎めいた病気」であるPTSDが再び姿を現すことになったが、今度ばかりはこれを忘れるわけにはいかなかった。ということで1980年のDSMにはくっきりと、はっきりとPTSD(≒戦争神経症)が明示され、ようやく本格的な学問の対象となった。ここからのスライドはいくらでも作ってある。だいたいのあらすじは、客観的にその存在を示すことが出来、誰にでもPTSDの発症を導くようなトラウマの存在 → 主観的な要素の重視(その人にとってトラウマになるものがトラウマ)という大きな概念上の変遷が生じたということである。
その次に生じたこと。それは愛着トラウマという概念であった。ここらへんもスライドで流そう。