第 7 章 モンスターという名の自己愛者
(本章は、自著『恥と自己愛トラウマ』からかなりの引用を行っていることをお断りしておく。)
ある患者さんがこう言った。「なかなか外に出られなかったんですが、先日ようやく近くのスーパーに行けたんです。それでレジでお金を払う時、小銭を出そうとして財布の中を探していたら、ほんの数秒ですが支払いに時間がかかってしまいました。すると次に並んでいる男の人が聞こえないくらいの音で、チッと舌打ちをしたんです。この世の中はなんて怖いところなんだろう、と思って、外出するのがまた怖くなりました。」
この話の本当に怖いところは、この状況での舌打ち程度なら、だれでもしてしまう可能性があるということだ。私も駅で急いでいる時などに、改札で前の人のICカードがはじかれたりすると、「ハ~」とため息程度は簡単についてしまう。私も含めて、世の中は、少しでもミスをしたり、秩序を乱した人に対してすぐに文句を言うような、いわばプチ・モンスターたちがウヨウヨしているようなのだ。
以下略
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