ただしこの問題を一つ複雑にしている問題があることを私は心得ているつもりである。それは解離に興味を持ち、「解離になりたい」(ママ)という一部の方々の存在である。私自身は実は彼女たちに会ったことがない筈であるが、解離に興味を持ち、そのような症状を持ってみたいという願望や空想を持つ人は少なからずいるということを、患者さんたちから聞くことがある。私は「解離にはなりたいと思っても簡単にはなれない」という立場である。「解離になりたい」人たちは「解離になりたい」けれどもそうではない人のままのはずだ。しかしそのような人たちの存在が、実際の解離を持つ人たちの信憑性を減じることにつながるとしたら、それも非常に困った問題であると考える。