2013年12月29日日曜日

恥から見た自己愛パーソナリティ障害(14)


自己愛連続体の図式
ここでこれまでの議論を分かりやすくまとめた図(図1)を紹介しておこう。これまでいくつかの著述に用いたものであり、その意味では読者の目にある程度はさらされ、そのテストを通過しているものと言えなくもない。
この図式がこれまで話に出てきた「風船」の話とも関係することはお分かりであろう。
 


その原型は下の図2である。非常にシンプルで、これ自体は何を指しているのかわからないかもしれない。これは動物レベルでの自己愛に相当するものであるが、自己保存本能に基づいたものとも言える。動物レベルでは自分を愛するという傾向と自己保存本能に従ったものは一致する。なぜなら自己イメージを明確なかたちで持たないからだ。



 ただしこれには例外があるかもしれない。例えばサル山のボスザルを考えてみよう。どんぐりテスト、というのを読者はご存知だろうか?猿山で何匹かの申のあいだにどんぐりを落とす。すると上位のサルがそれを取り、下位のサルはそれを横目で見ているだけなのだ。(あれ?確かめようとして「どんぐりテスト」をググってみたが、出てこないや。呼び方は違っているかもしれない。)

 でももしボスザルの横に落ちたどんぐりの一つを、若いオスざるがかっさらって言ったら、ボスザルはきっと切れるはずだ。「わしをなめとんのか、コラ!」ボスザルは決してそのどんぐり一個を食べないことで飢え死にしたりしない。つまり自己保存本能に根ざした怒りではない。するとこれって・・・・・。「膨れて」はいないか?何がって?自己愛の風船が、である。