2013年9月26日木曜日

トラウマ記憶の科学(23)

ということでトラウマの記憶の科学は、ひとまずおしまいである。最後に本書Bruce Ecker , Robin Ticic , Laurel Hulley,Unlocking the Emotional Brain: Eliminating Symptoms at Their Roots Using Memory Reconsolidation. Routledge; 2012.)を読んだ私の感想についてであるが、とてもこのままでは使えそうにないということだ。それは私の理解や技量が足りないし、また本書の解説に不明な点も多いという意味でもある。しかしある非常に大きな示唆を与えてもらったのも事実だ。それはTRPのプロセス、記憶の再固定化という考え方だ。
確かに過去の出来事やそれに従った世界観が大きく変わる瞬間が訪れることがある。私自身には残念ながらないが、多くの患者の体験として、あるいはケース報告を通して聞かれることである。そこには脳のレベルでのある種の改変が行われていると考えざるを得ないのである。「再固定化」はそれを説明する一つの重要な概念であり、現象である。
 (以下略)