その意味ではミュンヒハウゼン症候群は、自傷行為にも似ている。自分の手を切る、髪の毛をむしるということは自己を痛めつける行為であり、普通の人はやらない。それと同様に、自ら進んで自分に病気の状態を作り、病院に入るのも普通の人はやらないことだから、病気として扱うというわけだ。それはそうだろう。誰だってバイキンの混じった水を自分に注射したり、捻挫をわざとしては救急を訪れるのは、普通はいやだ。自分に痛いことをする人はよほどの変わり者、正常とはいえない状態、つまり病気だということになる。
さてここからがわからないところだ。病院に入り、包帯を巻いてもらい、三食を出されることは自傷行為に本当に似ているのだろうか?むしろ詐病に似てはいまいか?つまり虚偽性障害の中で、それほど「痛くない」状態があり、それは明らかな虚偽性障害と詐病の中間くらいに位置することになる。こんな感じになる。
せて病院でケアをしてもらう、など。
典型的な詐病 ・・・・ あまり痛いことはせず、もっぱら病気であると申し立てて、傷病手当をもら
う、など。
中間の状態 ・・・・ あまり痛いことを自らにせず、病院でケアをしてもらうこと。
つまり中間な状態とは、実はそこに「実利」に少し近いことがあたかも報酬のように与えられ、それでも普通の人は満足しないにもかかわらず、当人はそれをよしとしてしまう状態だ。
さてこれほど長々と前置きをしたが、この「中間の状態」は冒頭の「怠け病」に近づいてくるのである。そして怠け病とは、現在極めて増加しているといわれている「新型うつ病」の一つの見え方なのである。(続く。そりゃそうだろう。)