見立て
PDを有すると目される患者とのインテークでは、面接者はその抱えている問題の全体像の把握を試みる。患者はそのPDにより自ら困り、あるいは周囲が困っていることになる。DSM-5の表現を借りるならば、「臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、またはほかの重要な領域における機能の障害を引き起こす』とあり、ちょっとスマートな書き方になっているが、実際は同じ意味である。そしてPDについて考える際に、それが「その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式でこの様式は以下のうち二つの領域に表れる。認知、感情性、対人関係機能、衝動の制御」というわけだが、実際に患者は「自分は〇〇というパーソナリティの問題がありまして・・・・」と言って訪れるわけではない。大抵は「~という事で困っています」だったり「周囲から受診を薦められました」だったりする。あるいは何らかの症状(鬱、不安など)で受診をしていて主治医からカウンセリングを勧められたと言って来談なさり、その場合には自分が有しているかもしれないパーソナリティ症には比較的無自覚だったりする。それはヒストリーを追っていった面接者が「ああ、ここにはPDが絡んでいるのではないか?」と始めに気がつく、という形をとるかもしれない。いずれにせよ主訴を同定して、見立てをし、治療方針を決める、という段取りでスムーズには進んでは行かない可能性がある。