解離現象と相転移との類似
ここに表れる解離の性質は、それが心に不連続性を生み、それ以前とは全く異なる状態が出現するという点である。それはある組織が一つの状態からもう一つの状態にジャンプするとでも表現できるであろう。それは一つの心に起きた変化、というよりはもう一つの心が出現する現象と言えるかもしれない。つまり一つの心の中を探っていても不十分なわけである。先ほどの体外離脱がまさにそれを表している。
しかし心が実際に二つに分かれるという現象を想像できにくいとすれば、それに近い現象がいわゆる相転移である。私は解離性障害における人格のスイッチングを即相転移として位置づけるつもりはない。ただ現象としては類似しているということを主張したいわけである。もし一つの心が脳に宿り、そこにもう一つの脳を想定できない以上、同じネットワークを作っている要素のまったく異なる結合の仕方(相転移における水分子がそうであるように)である。
ここで相転移の定義としては以下のようにあらわせるだろう。
「相転移とは、温度や圧力などの外部環境の変化により、物質が固体・液体・気体といった「相(状態)」を不連続に変化させる物理現象である。氷が水に溶ける、水が蒸発する、磁石の磁性が消えるなどが代表例であり、アボガドロ数程度の多数の原子が絡み合うことで生じるマクロな変化である。」(AIの回答より。)
相転移というと常にこのような物理現象が引き合いに出されるが、それに限らず、組織の構造の在り方が全面的に、かつ不連続的に生じることだ。 氷と水の間に生じるのは相転移の典型であるが、例えば私がDIDの病理として想定した複数のダイナミックコアのかかわりもそれに相当するのではないか。そこでは同一の神経細胞が異なるネットワークを形成しなおす、という状態を想定したからである。