2024年11月17日日曜日

解離における知覚体験 13

 「わかりやすい解離性障害入門」星和書店 2010年 p131に書いたことを今回加筆してみた。


解離性障害

統合失調症

幻聴の主の特定可能性

患者は「あの人の声だ」と特定出来ることが多い。(小さい頃から聞いていたあの声だ、などと感じることが多い。フラッシュバックにおいては、かつての加害者の声である場合がある。DIDの場合にはそれが特定の交代人格である場合が多い。)

多くの場合、特定不可能である。あるいは神や悪魔などの「超越的」な存在の声として感じられることもある。

どの程度声に影響されやすいか?

声に驚いたり、おびえたり、場合によっては励まされるなど様々な影響を受ける可能性がある。しかしあくまでも別の主体の声としてとらえられる。別人の声が勝手に聞こえて来ると感じ、聞き流すことも多い。(ただし交代人格の声である場合は、時には自分がその声の主にスイッチし、「本人の声」になることもある。)

幻聴の内容はしばしば、自分の意志や考えと区別がつかない。(幻聴の内容がそのまま妄想内容となることが多い。たとえば「あいつがお前を狙っている」という幻聴を聞くと、それがそのまま確信となる、など。)

面接者との対話

患者に幻聴の主との対話を促すことが出来る場合が多い。また時には面接者は患者を媒介にして、幻聴の主との伝言のやり取りができることがある。

通常は考えられない。

関係念慮(自分にかかわってくるという印象)を伴うか?

自分に話しかけている場合を除いては、通常は他人事である。(ただし至近距離において、幻聴が「自分のことを言っている」という感覚を伴うことがある。)

通常は伴う。その場合幻聴の主は時空を超え、テレビやインターネットを介して「自分のことを言っている」と感じることもある。

いつから体験されるか ?

幼少時から「想像上の友」の形で聞こえていることが多く、しばしば鑑別上重要な手掛かりとなる。

思春期ないし青年期に統合失調症が発症した時、その前兆として数ヶ月程度前から聞こえ出すことが多い。

精神科の薬がどの程度有効か?

幻聴そのものにはあまり効果がないが、一応試みる価値はある。

比較的効果がある。

(場合によっては劇的におさまる。)