2023年4月9日日曜日

うつ病座談会 1

 大人の事情は相変わらず続く。今度は「うつ病座談会」というものに出るための準備である。鬱の専門家というわけではないので、幾つかのテーマについての考えをまとめておくのだ。 

●この10年間のうつ病症状の出現頻度。併存症の増減。対人関係の持ち方の変化について。

私は限定された患者さんpopulation としか会っていないので、決して一般化は出来ないが、その上でいえるのは職場でのストレスから抑うつ症状が見られるようになるというパターンは、この10年間、特に変わらないということだ。職場がブラック体質で弱肉強食の世界であることは昔からあまり変わっていない。というよりはこれはかなり文化的な問題なので、一朝一夕に変わるはずはない。内部告発は結局は握りつぶされる。セクハラ、パワハラは横行している。ただそれを最近ではトラウマとして抽出するという傾向が強まった。その結果として鬱ではなく、トラウマに対する反応として見る傾向が生まれた。そこまでストレスが大きくなければ鬱を伴う適応障害で、形としては非定型型鬱と言えるだろう。それはアンケートで「易疲労性、気力の減退、無価値観」が増えているという印象とも関係しているかもしれない。そしてそれが併存症としてトラウマ関連障害が増えている事とも関係しているであろう。(ちなみに解離転換障害はうつ病の併存症としてむしろ減っているという意見もあるが、それはおかしい話である。なぜなら解離てんかんはトラウマ関連だから) ちなみにASD,ADHDが増えたのは当然私たちの関心がそれ等に向かっているからであろう。なおASDを併存症として考えるということは、欝は職場への不適応がもととなっている、そしてそれは職場でのストレスを受ける側にもそれなりに準備性があるであろうという考え方が増してきたからとも考えられるだろう。だからトラウマはトラウマでも、それを受けやすい体質としての発達障害という理解が生まれてきているのであろう。つまり社員の側のソーシャルスキルの低下という問題だ。