2019年1月2日水曜日

解離の本 69


5)主人格に代わって主張する黒幕人格
黒幕さんの中には、暴力的なカタチではあれ、主人格を守り、代弁しているような振る舞いを見せる場合がある。黒幕さんは常に主人格に敵対し、その生活を破壊したり乗っ取ったりするとは限らない。そう、黒幕さんにもいろいろいるのだ。ただし黒幕さんが本人を守る行動は時に激しく、時に行きすぎる傾向にある。
たとえてみれば次のようなものだ。家に荒くれ者の兄がいる。父親どころか弟のあなたにも暴力をふるう。いつ彼の気に障ることを言ってしまうかと思うとあなたはビクビクしている。ところがある時一緒に歩いているとあなたのクラスの意地悪な友達が近づいてくる。あなたの兄がそばにいることに気が付かずに荒っぽい言葉を投げかけてくる。あなたは身を縮めていると、弟がいじめられていることを知った兄が猛烈に怒りだし、その意地悪なクラスメートを撃退するのだ。つまりあなたはその荒くれ者の兄にとっての身内となり、彼はあなたを庇う方に向かったのである。あなたは初めて兄を頼もしく思うだろう。