解離治療における心理教育
(前田正治、金吉晴偏:PTSDの伝え方―トラウマ臨床と心理教育 誠信書房、2012年 所収)
解離性障害が含む臨床症状の幅は非常に広い。ICD-10 (WHO, 1992) の分類にならい、そこに転換症状も含めた場合は、その数や種類は膨大なものとなる。具体的な症状としては、一過性の健忘に始まり、種々の身体症状、離人症状などを含み、複数の人格の極めて重層的な共存状態まで至り、それぞれに異なる診断名が与えられる。表1 (省略)にその一部を示したが、このうち「F44.8 他の解離性(転換性)障害」の下にさらに、8つの障害が収められている。
解離は私たちがこれまで考えていたよりも遥かに広くかつ微妙な形で生じ、なおかつ精神科疾患を修飾している可能性がある。そのために患者自身のみならず、患者の家族、ないしは治療者にとっても症状の全貌を捉えにくく、極めて混乱を招きやすい。それだけに心理教育は解離症状に悩むすべての人々にとって非常に大きな意味を持つのである。
(この後延々と続くので、以下省略。)