もう何度も出てきた話だな。
第1章 頭医者は不埒な夢を見る
第1章 頭医者は不埒な夢を見る
昨夜、おかしな夢を見た。その中で私は癌を宣告され、余命いくばくもない。自分でも体力が明らかに落ちてきているのがわかる。しかし私は特別死を怖くは思っていない。むしろ楽しみなくらいだ。それには秘密がある。死ぬ前に「最後の楽しみ」が取ってあるのだ。
思えばずいぶんしゃかりきになって走ってきた人生だった。先のことばかり考えていたような気がする。少しでも前に進めないか、そればかりを考えていた。でも最後はゆっくりと、本当の「休息」を取るのもいいのではないか。努力の結果として受け取る快楽しか自分に許さないという考え方を変えてもいいのではないか?
ふと目の前の予定表を見る。このところ何も予定は書きこまれていない。カレンダーはまっさらだ。ただ一箇所、一か月後の日付に「X」と書かれている。そうだ、この日が私の「Xデー」だと主治医に宣告されていたのだ。でもその日まで待つ必要もないだろう。これからさらに強まっていくであろう病の苦しみに耐え続けることを思えば、もうこの世に未練はない。それに私にはまだ「最後の楽しみ」が残されている。
思えばずいぶんしゃかりきになって走ってきた人生だった。先のことばかり考えていたような気がする。少しでも前に進めないか、そればかりを考えていた。でも最後はゆっくりと、本当の「休息」を取るのもいいのではないか。努力の結果として受け取る快楽しか自分に許さないという考え方を変えてもいいのではないか?
ふと目の前の予定表を見る。このところ何も予定は書きこまれていない。カレンダーはまっさらだ。ただ一箇所、一か月後の日付に「X」と書かれている。そうだ、この日が私の「Xデー」だと主治医に宣告されていたのだ。でもその日まで待つ必要もないだろう。これからさらに強まっていくであろう病の苦しみに耐え続けることを思えば、もうこの世に未練はない。それに私にはまだ「最後の楽しみ」が残されている。
<以下略>