2016年4月29日金曜日

嘘 2 ⑤

「自己欺瞞」の心理

さて私はここらで、この「弱い嘘つき」という言葉をもう少しマシな言い方に代えたい。それは自己欺瞞である。サルトルの言っていた、あれである。(実は弱い嘘と自己欺瞞は、異なる種類のものだ、という話に持っていきたいのだが、まだ先は急がないことにしよう。)
自己欺瞞とは、私なりに定義すると、ある虚偽を自分の中に抱え、いわば自分に嘘をついている状態だ ・・・・ と話を進めていこうとしたが、ここでいきなり項目わけをすることにする気になった。というのも私はなぜかこの自己欺瞞の問題が昔から気になっていたからだ。
 自己欺瞞とは、精神分析には出てこない概念だが、サルトルにとっては人間にとって本質的なあり方であるという。私も全く知らないのだが、おそらく虚偽、嘘、とも違う。それは虚偽は自分が嘘をついているという自覚があるが、自己欺瞞はそこらへんがあいまいになっているのだ。ここら辺はこれまでの「弱い嘘」とも関係しているし、アリエリーの主張とも通じている気がする。つまり「弱い嘘」は自分は本当の嘘をついているのではない、本物の嘘つきではない、という思考があり、ある意味では自分の嘘つきの部分に目をつぶっているからだ。そしてそれがどうして報酬系と関係するかと言えば、それが結局は自己中心性、自己愛傾向、他人を利用して自己を利するという問題と複雑に絡んでいるからである。ということで明日からは、

嘘という名の快楽 3.―自己欺瞞の心理学 ほんと、テキトーだな。