2015年4月7日火曜日

精神分析と解離(3)


そこで「ヒステリー研究」の最終章。SE286ページあたり。なるべく口語で行こう。

ブロイアーと私は、ヒステリーは二種類あるね、ということになった。類催眠ヒステリーと貯留ヒステリーretention hysteria だ。前者は最初に提案されたけれど、それは転換による防衛 defence by conversion とは違うものだ。ブロイアーによると、思考が病的になるのは idea becomes pathogenic それが自我の外にとどまるからだ、と考えた。そうなると、その思考が自我の外にとどまることに関しては、類催眠を用いるならばいかなる心的な力もそれには必要がないことになるし、そこに抵抗が起きる必要はないことになる。実際にアンナOではそのような抵抗は見られなかったのだ。私はこの類催眠という概念を認めることにやぶさかではないのだが、実は私自身は真正の類催眠状態を見たことがないのだ。私のあった患者は結局は防衛ヒステリーだった。もちろん私だって類催眠のような状態を体験しなかったわけではない。でも結局類催眠と言われる状態も、防衛によるスプリッティングの結果として心が切り離されたと考えるしかない。