2013年9月10日火曜日

トラウマ記憶の科学(7)


次のセッションでAはこんな経験を報告したという。「昨日会社である企画が浮かんだんですけれど、例により自信がなくて言えませんでした。ところが隣の同僚がその同じ企画を口に出して提案し、結構受け入れられたんです。私はその時ちょっとしたショックを受けました。」治療者はこの体験をDK(学習内容を不確定なものにするような知識)として使うことを決めた。
治療者はAさんに「では次のようなシーンを想像してください。あなたは仕事場の企画会議で一つのアイデアを思いつきますが、口に出さないことにします。そんなことをすると傲慢だと受け取られて嫌われるからです。すると誰かがそのアイデアを口にします。すると驚いたことに、誰もそれを傲慢とは受け入れず、そのアイデアをうけいれたのです!」このイメージトレーニングを治療者はAに何度もやってもらう。そうしてもう一枚のインデックスカードを取り出して、文章を書いてもらう。
「少しでも自信を持てると、それは自己中心的で傲慢であり、父親になってしまう。だから自分は決して自信を持てないと思っていた。ところが実際に口にすると全然そんなことはなかったのだ!」
これを次のセッションまでにAさんは暇さえあれば何度も取り出して読むということになった。

うーん、こんなにうまくいくのかな? ただしこの本の提唱している「コヒアレンス療法Coherence Therapy」には何かありそうだ。もう少しついて行って見よう。