2012年6月5日火曜日

続・脳科学と心の臨床(13)


一番わかりやすいマイナートランキライザー
<このテーマ、うまく行くかわからないが、とりあえず書き始めてみる。>
マイナートランキライザー。別名抗不安薬。英語圏では「ベンゾ」と呼ばれたりするが、もっぱら「ベンゾジアゼピン系」という種類の薬がこれに属するからだ。
マイナートランキライザーは、俗に「マイナー」と呼ばれる。心理の先生にも一番なじみがある薬だろう。というか、自分で飲んでいる方もいらっしゃるかもしれない。精神科にかかっている患者さんならおそらく半数以上に、この薬が出されているだろう。また内科医にかかってもいつの間にか出ていたりする。
心理療法を行っている人に精神科の主治医がいる場合、「この患者さんはどんな薬を飲んでいるんですか?」などと聞いてみると、よく「エーと、メジャーと、抗うつ剤と、眠剤と、あとマイナーね。」とかいわれることがある。あのマイナー、である。感覚からして、「おかず」的なニュアンスがあるかもしれない。メジャー(あとで説明)とか抗うつ剤(これもあとで説明、続けば)とかが重要だからまずリストにあげられ、「あと」とか、「それと」とかいう感じで付け加えられる薬。(何か、薬の解説本のようになって来た。イケナイイケナイ。脳科学、脳科学)
マイナーは、ある意味ではわかりやすい薬だ。というのも脳の中にあるものすごい数のリセプターに働くのだ。リセプターとはなんだ、ということになると説明が大変なことになるが、こう考えて欲しい。脳は巨大なネットワーク。そのいたるところにスイッチがある。プラスのスイッチとマイナスのスイッチ。ネットワークとは神経細胞(ニューロン)の間の結合だが、それぞれの神経細胞には、その働きを高めるスイッチと低めるスイッチがあると言うわけだ。そのうちそこが押されると働きが抑えられるスイッチのことを言っている。それはGABA(ギャバ)リセプターとよばれている。マイナーはそのスイッチをポン、と押して脳全体にブレーキをかけてくれる。どんな形をしているって?ここに私の薬についてのネタ本が登場する。スティーブン・スタール教授の本だ。でも最新版にはわかりやすい図が載っていないのでネットから引っ張ってくる。
http://gomerville.com/2009/10/12/how-to-kill-someone-properly/
このリセプターにはいくつかの結合部位がある。英語で分かりづらいかもしれないが、ベンゾジアゼピン(つまりマイナーのことだ)以外にもアルコールやバルビツール系の薬物も結合する。つまりGABAはこれらの物質も刺激して、同様の効果を及ぼす。それは脳の全体の働きをスローダウンすることである。その結果人の精神に起きることは、鎮静、抗不安効果 → 眠気 → 睡眠 →昏睡 (→ 死)ということになる。ただしマイナーはGABAリセプターへの働きが強くないために、どんなにたくさんODしても昏睡にまで至ることはない。ところがアルコールもバルビツール系も、量によっては死にまで至らしめてしまう、恐ろしい効果を持つのだ。
<うーん、このテーマいま一つのらない。続かないかも。>