2026年10月22日木曜日

成田先生のこと 推敲 18

 成田先生の自由さ

 以上述べた見地から成田先生について考えると、彼はとても自由であり、分析的療法家としては他に類を見ないほどであると言える。彼は精神分析学会での活動が長く、学会長まで務めた人物であるが「精神分析的であれ」という縛りは極めて薄いどころか、時にはそれに相反するような独自の考え方を持っていたことがわかる。しかしそれを表明するのは、分析学会の中での立ち位置を考えれば極めて難しいことであり、かなり勇気がいることなのだ。

 そのような成田の立場を特に際立たせているのが、成田の「深い精神療法と浅い精神療法」の議論であり、そこに見られる一種の「精神分析批判」である。
(成田(1982)精神療法の深さ—精神科医の立場から 精神療法 8巻4号、1982)(成田(2012)精神療法の深さー成田善弘セレクション 金剛出版、P70~71)

 この1982年の論文は、成田が40代の初めに書いたものということになるが、かなり旗幟鮮明に自分の考えを主張している。彼はまず、精神療法には深いものと浅いものがあると言い、両者を対比的に表示しているが、これはまさに精神分析ないしは表出的精神療法と支持的療法の対比と言える。その上でこう述べる。


<以下略>