2025年2月15日土曜日

関係論とサイコセラピー 1

 我が国の精神分析学会において過去10年余りの間議論ないしは論争がが継続的に行われているテーマがある。それが「週一回精神分析的サイコセラピー」と呼ばれるものである。このテーマに関してはそれを包括する内容の学術書が昨年出版され、またそれと密接な関係にあるいわゆるPOST(精神分析的サポーティブセラピー、岩倉拓、関真粧美、山口貴史、山崎孝明、東畑開人著、金剛出版、2023年)という試みの議論も興味深い。全体として言えるのは、我が国における若手の臨床家たちが一つのテーマについての議論を重ね、一つの流れを生み出しているという印象を持つ。これは非常に頼もしく、また心強い動きである。私はたまたまそれらの著述に接し、それらについての書評をまとめる過程で様々なことを考える機会を得た。それは関係精神分析的な立場からこの議論がどのように見えるか、というテーマについての考察を私に促した。そこでその内容を少しまとめてみたい。

「週一回サイコセラピー」(以降は「週一回」と略記)の流れについては、実は「週一回精神分析的サイコセラピー」に極めて詳しくまとめられている。(週一回 精神分析的サイコセラピー 高野晶、山崎孝明編 遠見書房 2024年)