ところでミリガンの例は3人の女性に対する連続強姦及び強盗の容疑で逮捕され、結局無罪となったケースである。それから同様のケースは存在するのだろうか。この問題については前書「解離性障害と他者性」(岩崎学術出版社)でも扱ったが、海外の様子は分からなかった。同じようなケースは見つからないという話は聞いていたが、確証はない。チャットGPTに尋ねてみたがどうもいまひとつピンとこない。チャット君はあいまいなところは言葉を濁すのである。そこで論文を入手してみた。Haroon H. Dissociation and the insanity defense: A review of U.S. Federal appellate case law. J Forensic Sci. 2024 Sep;69(5):1782-1788. まさにピンポイントな論文だが、いつものようにPDFをダウンロードして、というわけにはいかない。最新の論文でもあるし、ネットを介して購入しなければならず、結局17ドル出費して読むことになった。がしかし‥‥せっかくお金を出してブラウザ―上では読めても、ダウンロードできないようになっている!PDFとしてダウンロードできるためには40ドル以上の値段になっている。結局ネット上で読むことしかできない。(もちろんスクショを駆使して何とかデータ化したが。この高額さはいったいなんだろう‥‥。)ちなみにこの論文は Journal of Forensic Science (法科学ジャーナル)というジャーナルに掲載されている。 結局この論文でもDIDで無罪ということはまずないという結論だった。もう少し内容を追うと,法律の世界では解離の問題はしばしばみられると言っている。そして一般人の6.1~8.3%にPTSDがみられ、そのうち三分の一に解離がみられるという具体的な数字を挙げている。また暴力と解離は関係があり、両者の因果関係は双方向性だという理解も示している。(これってここまで言っていいのだろうか。)