しばらくは昨年12月のJASDの大会で発表した「統合論と『解離能』」の文章化である。
最初に私たち臨床家を悩ます二つの問題から入りたい。
①人格の統合を目指さなくてもいいのだろうか?
② 解離の治療には特殊な技法が必要なのだろうか?(EMDR?自我状態療法?・・・・
まずそれぞれに説明を加えたい。
①に関しては、私の今回の発表の目的とも関係している。私は今回の発表では、これまでと少し違ったことを言いたかった。私は統合は「絵に描いた餅」であることが多い、ということを言っていたので、「いや、統合したというケースもありますよ」という発表をしたかったのだ。同じ主張ばかりしていると、その論点に凝り固まってしまい、周囲に飽きられてしまう。それに自分の理論を守ることに躍起となってしまい、現実に起きていることを捻じ曲げてしまいかねない。そこでいっそ反対のことを言い出してはどうか、と思うのだ。おかしな発想かもしれないが、これを私はかなり前からやっているところがある。
②についてはこれも私自身の問題であるDIDをはじめとする解離の治療にはいくつかの流派やテクニックが存在する。私はそのどれにも習熟しているとは言えないし、多くの治療者は同様であろう。これでいいのだろうか?この点も少し深堀したかったのだ。
勿論ここに書いてあるEMDR,自我状態療法以外にもたくさんある。少し上げただけでも以下のようなものが思い浮かぶ。
BSP (ブレインスポッティング)
TFT (思考場療法)
HT (ホログラフィートーク)、
BCT (ボディコネクトセラピー)、
SE (ソマティックエクスペリエンス)、
TF-CBT (トラウマ焦点付け認知行動療法)