2024年12月20日金曜日

メンタライゼーションと遊ぼう 書評 2

こちらも遅々として進まず・・・・。 

本書は池田氏のメンタライゼーションに関する二冊目の書である。第一冊目は2021年に出版された「メンタライゼーションを学ぼう」で、「こころの科学」に連載されたいわば入門編としての解説書である。その姉妹書として2024年に出版された本書「メンタライゼーションと遊ぼう」はそのタイトルとは裏腹により専門家向けに書かれた学術書というも言える重厚な内容となっている。(~と遊ぶ、という意味については本書の中で解説されている。)

本書の内容をざっと紹介するならば、第一部はメンタライゼーションの基盤ないし由来についての概説であり、それがいかに境界例概念や愛着理論や脳科学を基盤にしているかが語られる。第2部ではメンタライゼーションの臨床について、特にトラウマ臨床、感情への焦点付け、精神力動論としての同論が展開される。第3部では、メンタライゼーションと現代の精神分析との関連と、それが将来に向けてどのようなベクトルを有しているかについて語られる。いずれも現在の心理学や精神分析についての深い知識と洞察なしにはまとめられない内容で、私も本書で改めてメンタライゼーションの理論的な立ち位置について多くを学んだ。