論文は遅々として進まず…・
DIDにおける幻聴
解離性幻聴はDIDにおいてとても頻繁に体験される。ある文献ではDIDの方の100%に見られ、その多くは交代人格の間の会話であるとする。(Steinberg 1994, Middleton1998)
Nurcombe et al (1996)によるとDIDの幻覚の特徴は、突然の始まり、心理的な危機が関与し、1日~一週間ほどの継続期間であり、各エピソードの間に心理的な悪化はない。そして意識の変化、情動的な混乱、衝動的な行為、そしてトラウマに関連した異常知覚が伴うことが多いという。
柴山によれば、解離性障害で見られる幻聴には二種類あるという。
柴山はp.209 (「第14章 解離性障害と統合失調症」) で解離性の知覚異常に触れている。そして 1.フラッシュバック しばしばこれが解離性幻聴であるとされがちだが、その一部にすぎないとする。
2,交代人格(不全型も含む)に由来する幻聴。特に「死んでしまえ」などの攻撃的なものや「こっちにおいで」という別の世界へ誘いかける内容などで、これはフラッシュバックとは異なる、としている。