2026年6月29日月曜日

解離と未遂との関連について 1

  私は今一つこの問題に結論を出せていない。すっきりわかっていない。Foote らの示すとおり、解離症状と自殺企図には高い相関関係があるのはなぜか?BPDや鬱やアルコール中毒との高い相関についてはピンとくる。ところが解離はどうもすっきりそうは思えないのだ。  自殺企図に関係するもののひとつは衝動性であろう。酒に酔って死にたくなった時に、「もし今この行動を起こしたらどのような結果が待っているのか?」「人生山あり谷ありじゃないか。待っていればまたいいことがあるさ。」と思う余裕もなく行動に移す。そしてこの衝動性と表裏一体なのが、情動コントロールの問題だろう。強い怒りや絶望感を鎮めるための前頭葉の機能が低下している。この「前頭葉の機能低下・衝動性の亢進」が酩酊時や抑うつやBPDにおいて高まるという理屈はよくわかる。しかし解離が果たして同様の問題に結びついているのだろうか?どうも納得がいかない。  一つ確実に言えることは、解離性障害を有する人が「前頭葉の機能低下・衝動性の亢進」を特徴とするような解離状態に陥る傾向があるとすれば、その人の自殺未遂の頻度は高まるであろうということだ。何らかのきっかけでそのような状態に陥り、それが警察への通報や緊急入院につながることを繰り返す人もいる。しかしその場合、本当に解離が問題なのだろうか?  仮にそのような状態をSS(suicidal state)と呼ぼう。BPDや鬱やアルコール中毒においてはそれらの病理がこのSSを導くと言える。しかし解離はどうだろうか?もし通常の人格状態はSS状態とは切り離され、SSの出現が回避されているとしたら、それは解離のせいだろうか?どう考えても解離はSSの原因ではない。むしろ解離はSSの結果なのだ。そして人生においてSSに陥る経緯に解離は必ずしも関係していないのである。  この路線をもう少し進めてみよう。とにかく解離は誤解されているのだ。