2026年2月12日木曜日

明日の授業の準備

 明日のとある授業のために、ルイス・アロンの「心の出会い」を久しぶりに読んでいる。アロンの本の特徴を一言でいえば次のようになるだろうか?


本書の一番のテーマは、「治療者の主観性」を現代的な精神分析ではどのように扱うのか、という事に尽きる。古典的な考えによれば、患者は自由連想で即興で、衝動的にものを言い(つまり「一次過程」をそのまま表現し)
、治療者は客観的でバイアスのない中立的な観点からその自由連想にコメントや解釈を加えるという図式が成立している。つまりこちらは完全に二次過程である。いわば分析家は患者の心を見通すことが出来ると考えていたわけである。それも患者の意識だけでなく無意識過程も。ところが患者だけでなく治療者も、衝動的で主観的であることがわかってきた。両者は変わらぬ、生身の人間だからだ。それを分析家たちはしぶしぶ認めるようになった。考えても見よう。裁判だってあれほどの冤罪がある。分析家だって同じだ。だから謝った人間観により打ち立てられた精神分析理論を脱構築しなくてはならない事になる。

それにしてもよく書かれた本である。