2025年1月17日金曜日

統合論と「解離能」 6

 以上のDBSの議論を脳科学的に支えるのがケリー・フォレストの理論(Forrest, KA (2001) Toward an etiology of dissociative identity disorder: a neurodevelopmental approach Conscious Cogn 10:259-93.)であるので、これを簡単に紹介しよう。
 彼の理論では、解離に関して現時点でもっとも有効な理論は、パットナムのDBSの理論だが、その背景となる生物学的なメカニズムは何かについて考えられるのは、眼窩前頭皮質OFCを含む前頭前野であるという。そもそも人間が自己の異なる部分を統合する機能は人が持つ幾つかの機能が同じ人の複数の側面として、「全体としての自分 Global Me」として機能する必要があるが、それを支えているのが、この眼窩前頭皮質OFCなのだ。そしてOFCの機能の低下により、多面性が失われて、それぞれの側面がAさん、A’さん、A’’さん・・・と別々の人として振舞うのがDIDである。