2025年1月4日土曜日

「週1回 分析的サイコセラピー」書評 2

 ところでこの書評、なんと1200字。あっという間の短さである。

そこで気になる章から読んでみる。最終章に当たる山口貴史氏の「POSTを通じて考える週一回における『精神分析的』」という論文。彼の本は最近書評を書いたばかりだから読みやすいと思って読んでみた。やはり読みやすい。内容がすっと入ってくる。この章はいわゆるPOST(精神分析的な支持療法)の動きを端的に説明してくれていて、それと「週一回」との違いを描いていて興味深い。実は私はPOSTについて勉強不足だったので、これで少しは解消された。ここで特徴的なのは週一回精神分析的心理療法(PAT)と週一回POSTの一番の違いは、前者は転移を集めるが後者は拡散するという違いがある。というのもPOSTはなるべく転移を扱わないというのが一つの方針としてあげられるからだという。これは違いとして面白い(賛成かどうかは別として)。そしてPOSTでも転移は起きるが、扱わずに「心に留め置く」という。週一回PATは要するに精神分析だから、無意識も転移も扱うということになる。これはわかりやすい。これでPOST派の論客たちの立ち位置はかなり明確になった。