2020年7月13日月曜日

ICD-11における解離性障害の分類 書き直し 7


6B60 解離性神経症状症 Dissociative neurological symptom disorder (又は 運動、感覚、認知の解離症 Dissociative Disorder of Movement, Sensation or Cognition)  

「これは運動、感覚、認知機能の正常な統合の不随意的な不連続性を示唆するような症状により特徴づけられる。臨床所見はすでに見出されている神経系や精神障害や行動障害、あるいはその他の健康障害とは一致しない。」そして以下の13の特定用語(ママ)が存在する。てんかん発作 seizure や痙攣convulsion を伴うもの、脱力か麻痺を伴うもの、感覚異常をともなうもの、運動障害の症状を伴うもの、歩行障害の症状を伴うもの、認知症状を伴うもの、意識の変化を伴うもの、視覚症状を伴うもの、嚥下症状を伴うもの、聴覚症状を伴うもの、眩暈を伴うもの、発話症状を伴うもの、その他の特定の運動、感覚、認知症状を伴うもの。
ところでICD-11では転換 conversion という用語が用いられなくなったことで、従来のように心的ストレスが身体レベルに転換されたものという説明がなされなくなることになる。DSM-5においてはこれらに心理的ストレス因を伴うか否かという特定項目が設けられていたが、ICD-11においてはそれも存在していない。このようにこれらの症状がより客観的な表現を得ることで、その医学的、脳科学的な基盤が将来見出される可能性が示唆されると同時に、それらが神経内科的な診断を並行して得るべきであるというWHOの考え方がそこに反映されているという(Stone, et al, 2014)。

Stone,J, Hallett, M., Carson, A. et al.(2014) Functional disorders in the Neurology section of ICD-11 A landmark opportunity. Neurology. 83(24): 2299–2301