2020年4月27日月曜日

揺らぎ 推敲 57


今でこそ揺らのテーマは大きな関心を集めるようになったが、もちろん揺らぎそれ自身は宇宙が始まって以来永遠に存在してきた。宇宙の始まりと言われている「ビックバン」は138億年前に起きたと言われているが、最初にして最大の揺らぎ、超々々のつく大波だったかもしれない。(ただしそれ以前に「ビッククランチ」があり、それ以前に存在していた宇宙が大収縮して一点に集まったという説もある。ビックバンはそこから始まったというのだ。すると宇宙は結局収縮と膨張を繰り返しているという説、すなわち「振動宇宙論 oscillatory universe theory」と呼ばれるもので説明されることになる。つまり宇宙は悠久な時間の流れの中で、広がったり収縮したりという揺らぎを繰り返しているだけかもしれない。まったく気の遠くなるような話だ。
 ともかくもビッグバンは大変な激震だったわけであり、それにより起こされた擾乱が全宇宙に、そして量子レベルでの微小の世界にまで波及し、現在でも存在し続けているとも言われる。それの一つの現れが、いわゆる宇宙背景放射と呼ばれるものだ。

宇宙に存在する揺らぎ
 そしてそれから138億年たち、宇宙も私たちの住む地球でも、今でも気温、気圧、海水温、あるいは地震計の示す波形さえも揺らいでいる。これも結局はビッグバンの余波と言えるのだろうか。そして私たちの体の体温も、血圧も、脈拍数も、脳波もゆらいでいる。科学やテクノロジーが進んだ現代ではこれらの揺らぎの存在は常識の範囲内かも知れないが、いったんその理由を問い出すと、その明らかな起源など誰にもわからない。ただ宇宙は、現実世界はそうなっているとしか言いようがないのである。