2019年10月22日火曜日

1/f 揺らぎについて


いわゆる「1/f揺らぎ」について
揺らぎについて調べると決まって行きあたるのが「1/f 揺らぎ」というテーマである。ここで簡単に解説を加えたい。
揺らぎの中でも特別な性質を持つと言われる「1/f 揺らぎ」。これを事実上発見し、概念として広めたのが日本の武者利光先生という学者である。ここでf とは周波数 frequency を意味し、「1/f揺らぎ」とは「パワーが周波数に反比例するような揺らぎ」という事になる。すると が小さい、つまり周波数が小さくゆっくりした波ほどパワーが強くなるような波、「低周波の方が重たい波」と説明される。たしかに 「1/f 揺らぎ」として例に出される小川のせせらぎやそよ風などは、キーンという高い音ではなく、高い音は混じっていてもその音は小さく、低音はそれだけ大きく、という様な揺らぎという事になる。私は個人的にはオーケストラを考える。高音のバイオリン協奏曲もピッコロ協奏曲も、トランペット協奏曲も、コントラバスやチェロなどの低音に支えられることで心地よい音楽となる。弦楽四重奏にはチェロなどの低音部が欠かせず、それが聞いていて心地よさを感じさせる。オーディオマニアが低い音を的確に拾えるような重低音スピーカーを買い求めるのはその為だろうか。それとは逆にピッコロ四重奏などは(聞いたことはないが)あっても聞いていて居心地が悪いのではないか。
ここですでに聞き心地の話に入ってしまっているが、実は「1/f 揺らぎ」の面白いのは、しばしばそれが癒し効果と結び付けられるからだ。こうなるとこの種の揺らぎが途端に商業的な価値を伴ってくるわけだが、ある専門家によれば、(吉田たかよし著の「世界は『揺らぎ』でできている」(光文社新書))自然界に「1/f 揺らぎ」は満ち溢れているものの、それが癒し効果を発揮するかについてのエビデンスは十分でないという。
謎めいた「1/f 揺らぎ」の解明にはもう少し時間が必要らしい。