5月3,4,5日と東北に行ってみた。仙台から松島、女川、石巻、南三陸町。帰りの新幹線で外から見える景色に、「どうしてこちらはちゃんと家が立っているのだろう」とふと錯覚に陥ることがあった。しかし松島だけは深刻な災害を免れ、観光客を沢山目にした。
MSEの進め方は、テキストにより色々な記載があるであろうが、厳密なやり方はあまりない。明らかにすべきことは、患者の見た目 appearance, 話し方 speech, 見当識 orientation, 記憶 memory,知覚体験 perception, 思考 thought, 情動 emotion, 感情 affect の今現在の様子である。ちょうど内科医がまずは患者に口を開けてもらい、喉を見て、それから眼底を見て、それから首を触診して甲状腺やリンパ腺の肥大を見て…というふうに、現在の患者の心のあり方を記載する。ただし忘れないでいただきたいが、時間はもう5分しかないのである!どうしてあと5分で患者の見た目 appearance, 話し方 speech, 見当識 orientation, 記憶 memory, 知覚体験 perception, 思考 thought, 情動 emotion, 感情 affect を調べることが出来るのだろうか?(ここは明らかにコピペをしている。)実はこれらのうちのいくつかはすでにこれまでの面接のプロセスで調べられているのである。見た目や話し方、情動などはすでに話し方などを通じて明らかだからだ。すると最後の5分で面接者が新たに質問をすることにより明らかにするべきことは限られている。私がまずおすすめするのは次のような順番で質問を向けることである。
「まず今日の年月日を教えていただけますか?」(患者が何月何日、で終わる場合には、何曜日か、西暦、あるいは元号で何年かを促す。)
「これから3つの物の名前をあげます。あとでお聞きしなおしますので、覚えておいていただけますか? りんご、帽子、心理学」(もちろん最後の3つは何でもいいが、互いに無関係なものがいい。りんご、赤、サル、という3つをあげると、患者は、赤いりんごを食べている猿を想像してしまい、個別の3つの項目を覚えるということとは異なってくるからだ。もちろんこの3つは、自分の得意なものを用意しておく。その場で思いついた3つを覚えておこうとしても、患者さんよりさらに覚えていられない可能性がある。何しろ面接者は質問をどのように進めるか、何を忘れずに聞くかで頭がいっぱいだからだ。あるいは3つを即興であげたなら、それを何処かにメモしておくように。それとなぜこの質問をMSEの最初にするかというと、3分後にこの質問を患者さんに向けなくてはならないからだ。つまりこれは短期記憶を調べるのであるが、その前には、記銘が出来ていなくてはならないので、次の質問は忘れずに。)
「今私が言った三つを繰り返していただけますか?」患者が3つを正確に繰り返したのを見届けて、次に質問すべき幾つかは、もう心で準備しておく。
「100から7を何回か引いていただけますか?まず100引く7は? そこからもう一度7を引くと? もう一度?」(だいたい100,93,86,79,72くらいでよしとする。集中能力の検査。)
「現在の総理大臣はだれですか?」(一般常識)。
「次の二つに共通しているものは何かを上げてください。猫とライオン(ネコ科)、猫とネズミ(哺乳類)、猫と蚊(生き物)」(抽象思考の検査)。
ここで大体2,3分は経っているので、もう尋ねてもいい。
「先ほどの3つを覚えていらっしゃいますか?」
さて、この時点でおそらくあと面接時間は2分ほどしか残っていない・・・・・。読者の中にはこういう質問があってもおかしくない。
「MSEはもっと早く始められなかったのですか?」もっともである。