1.バウンダリーの起源
バウンダリーの歴史についての考察という事で原稿をお引き受けしたが、実はバウンダリーとはとんでもなく広く深いテーマである。精神科医であり、かつ精神療法及び精神分析を専門とする立場である私にとってはとりわけ関心を持たざるを得ないテーマであるため、その立場からの考察になる。
私のバウンダリーの問題はとりわけ2つの意味において重要である。第1には精神分析や精神療法において問題となる治療構造という概念が、バウンダリーをいかに設定していかに扱うかというテーマに直結しているということだ。そして第2には、そのバウンダリーが乗り越えられたり侵されたりすることにより生じる問題、すなわち「バウンダリー(境界)侵犯」がいかに生じ、どのような形で患者に影響を及ぼすかというテーマもまた重要なのだ。しかし紙数の関係でこの2に触れることは出来ないかもしれない。
最初にバウンダリーの問題は広く深いと述べたが、その原型は私たちが持つ身体そのものに関連している。つまりバウンダリーの起源は私たちの身体性に根差しているのである。
(以下略)